アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎は様々な方面からのアプローチによってその病態が少しずつ浮き彫りにされてきています。
アトピー性皮膚炎には3つの側面があります。
一つ目はアトピー素因という遺伝的素因です。
二つ目はそれに起因する表皮特に角層の異常、それによって生じる皮膚の乾燥・バリア機能異常、非特異的刺激反応・特異的アレルギー反応が関与して生じる炎症です。
三つ目は気候・発汗・精神的ストレスなどからの要因です。
これらに加えて増悪因子が加わって生じる病態なのです。症状は乾燥や鳥肌様のアトピー皮膚や特徴的な湿疹病変などです。

アトピーの治療方法

アトピー性皮膚炎の治療は湿疹病変の炎症をステロイドやタクロリムスの外用薬などを使用していきます。
さらにその後にステロイドやタクロリムスを含まない外用薬、すなわち保湿剤などでコントロールしていきます。
これで乾燥やバリア機能低下の状態を補い、炎症を再燃しないように予防をしていきます。

アトピー皮膚の状態

アトピー性皮膚炎の皮膚というものは病変がないところでも乾燥してアトピー皮膚の状態になっています。
この状態では、皮膚の角層水分含量が低下しており、表皮の水分喪失が増加してきます。
通常の皮膚の角質細胞間脂質のセラミドはセラミド1が減少しているからといわれています。 これは角層のスフィンゴミエリンからセラミドを産生するスフィンゴミエリナーゼと競合して、セラミドの代わりにスフィンゴシルホスホリルコリンを産生するスフィンゴミエリンデアシラーゼ活性が異常に高くなっているために起こるといわれており、このためセラミドが減少するといわれています。
このせいでバリア機能の低下がおこり、皮膚は外部からの刺激や感染原の侵入に対しての抵抗力が落ちてしまいます。
さらにこれに加え、皮脂の分泌量や発汗量が低下したりすることで肌の乾燥化は加速していきます。
この症状を防ぐために必要なのが保湿剤やスキンケアになってくるのです。